2018 金賞受賞 京都造形芸術大学 隈井 美歩さん
判型の大きさは声の大きさ

昨年のジャパン・シックシート・アワードにて金賞を受賞された隈井美歩さんに、アイディアを発想するプロセスや、シックシートサイズという、大きなサイズのクリエイティブを作成するためのポイントまで幅広くお話を伺いました。

winner


2018 金賞作品 課題:キリン 零ICHI (ノンアルコール飲料)
独自の製法でアルコールの含有量が0.00%である商品の特徴を、タイポグラフィで表現した作品です。


応募作品の制作過程


最初は他の課題に取り組んでいました。アイディアをだして、ラフを書いて、実際に写真を撮るところまでやりましたが、いまひとつ表現したいことが伝わらないことに気づき、課題を選ぶところからやり直しました。ストレートに伝わるような表現のアイディアを求めて、課題をまんべんなく見た上で、それぞれにアイディアをだしていく形をとりました。
キリン 零ICHIもそうですが、アイディアをだす時に、よく見かけるようないわゆる「○○っぽい広告」を考えるのは避けました。世の中のビールの広告の仲間入りを目指すのではなくて、キリン 零ICHIの特徴や個性を伝えることを考えました。そして広告である以上、人に見てもらうためには、今までに見たことないというインパクトが必要だとも考えていました。

大きなサイズのクリエイティブを作成するときの発想法

大きなサイズは、画面構成のコントロールがすごく難しいと感じました。データを作成している画面上では、実際に立って見たときの感覚がわからないので、プロジェクターに実寸大で映してみるなどのことをしながら調整していきました。賞に選んでいただいた際に、商品写真の大きさについてのリテイクをもらったので、もっと大きさの感覚を身につけることが必要だなと感じました。
また、大きいとそれだけスペースがあるし、情報を詰めこみたくなるけれど、そういうことをしないよう気をつけていました。判型の大きさは声の大きさだと思っていて、言いたいことをガツンと言うことだけを考えていました。

アワード受賞からの変化


一番変わったのは、自分の中の制作に対する意識だと思います。こういったコンペティションに応募して賞をいただいたことが初めてだったので、私のことを全然知らない人たちに評価してもらえた体験が新鮮でした。広島に旅行にいった中学の友達から「ポスター発見した!」って連絡がきた時はすごく嬉しかったです。今までは授業の課題や学内だけで制作をしていて、すごく狭い中で完結していたように思いますが、受賞の体験を通して、世界が広がったような気がします。もっとたくさんのものを広く見ることを心がけるようになりました。

普段の作品制作について


大学では、ビジュアルコミュニケーションデザインを学んでいます。
グラフィックデザインやロゴデザイン、エディトリアルデザインなど制作物のカタチは様々ですが、デザインをつかって何ができるかを考えることをしています。




隈井さんの作品

 

隈井さんのポートフォリオサイトinstagram.com/_beari_works

 

屋外広告に対する期待

私は京都出身なので、大阪や東京など都会に行った際には屋外広告の量や大きさにすごく圧倒されます。たくさん存在することが良い悪いは置いておいて、情報が雑多になっているところに課題を感じました。屋外広告の難しさは景色の中に存在するところなのではないかと想像します。景観と調和して、なおかつ目にとまる、気になる屋外広告が生まれたらいいなと思いました。今までの判型にとらわれず様々な形のものが増えてもいいのかなと思いました。

最近気になった広告

授業で見たカンヌライオンズ2018のデザイン部門でグランプリをとった"The Trash Isles"がすごく印象的でした。規模の大きさや熱量を感じて、これがデザインがもつ力なのかぁと圧倒されました。環境問題を改革する動きはたくさんあるけれど、その中でもこのキャンペーンのアプローチの仕方はすごくおもしろいです。クリエイティブにおいて、本気でとことんやるということの大切さを改めて感じました。

【参考リンク】カンヌライオンズ2日目の受賞発表、日本はデザイン部門で6作品入賞(アドタイ)
https://www.advertimes.com/20180620/article272362/

今後の目標

今はまだ大学で勉強をしている最中ですが、将来はデザインを通して社会に関わっていくことを仕事にしたいと思っています。それは、芸術大学に進学をきめたときから変わらない目標です。表面的なものを表現するのではなく、本質を知って仕組みをつくり、世の中を良くするようなデザインをつくりだすことが私の大きな目標です。

ありがとうございました。