2020年 金賞受賞
株式会社アドブレーン 田中 暢さん

大きな媒体なので大きな画に。
外ではなるべく気持ちのいい画をみたいものです。

2020年のジャパン・シックスシート・アワードにて金賞を受賞された田中 暢さん。
普段は広告会社にお勤めの田中さんに、今回の応募のきっかけや、クリエイティブにおけるアイディアの膨らませ方など、さまざまなお話を聞かせていただきました。

winner

2020年金賞作品|課題:綾鷹

街を出るときに見るものとして、とても心地がよいクリエイティブ。「どこにも出かけられない、ステイホームの心の内、お茶を持ってこういった場所に行きたい、出かけたいな」という印象がストレートに表現された作品です。

応募に至るまでのいきさつを教えていただけますか?

それまで仕事が忙しく余裕がなかったのですが、少し心にゆとりを持って仕事ができるようになってきて、デザインや広告への向き合い方や考え方、技術面でも個人的に成長を感じていたので、腕試しのつもりでいくつかのアワードに出してみようと思いました。ジャパン・シックスシート・アワードを選んだ理由としては、規模感と審査員が魅力的だったことです。

お仕事での制作と、プライベートワークとの違いはありますか?

私は広告会社に勤めているのですが、代理店のアートディレクターがお客様であり、その方々と作業することがほとんどです。なので、ビジュアルの企画は代理店側で立てていることが多く、私はそれをどう良く見せるか細かい部分を想定したり、エンドクライアントへ企画が魅力的に伝わるよう方法を考えます。

私にとってコンペに出すことは、ちょっとしたフラストレーションの発散の場ということもありますが、自分が企画から携われる仕事をする際、ちゃんと柔軟に対応できるようにするためというのはもちろんのこと、企画を発注されたときの理解度を高める目的もあります。ビジュアルを考えられる人とそうでない人には「企画の理解度」に大きく差が出ると思っています。なので、仕事とプライベートでは使う頭は少し違うのですが、繋がっている部分もあります。

仕事では、クロスメディアでの広告展開や拡散をベースに企画している事が多いので、このように1枚のビジュアルを一生懸命詰めるということはグラフィックデザイナー冥利に尽きる作業です。

課題の選定理由や、作品の着想からクリエイティブの制作に至るまでの過程をお聞かせください。

お茶という身近なものでしたし、もちろん飲んだこともあります。綾鷹の広告も生活の中で見てなんとなく綾鷹らしさみたいなものが自分の中で蓄積されていたのだと思います。「お茶と自分」で色々とストーリーが浮かんだので特に悩むことなく綾鷹の課題に飛びつきました。

まずはその「お茶と自分」の関係から考え始めました。そうしたら最近お茶買ってないなーと思い、なんでかな、、、と。世の中毎日色々な飲料の商品が出てきますし、日々の生活の中では選択肢が多すぎるんですよね。コーヒー買っちゃうし(笑)。。。そんな中でどういう状況だったらお茶を飲みたくなるか考えました。最近は行ってないですが、子供の頃に山に登った時は迷わずお茶だったなと思い、もし今、山に登ることになってもコーヒーや紅茶ではなくやっぱりお茶だろうな、「山とお茶」だ!となりました。その後この広告にキャッチコピーというかタイトルをつけるとしたらどんな感じかなと考え、最終的にコピーは外しましたが、今回のビジュアルは言葉発信なんです。

あとは、山で一番気持ちいい瞬間をシンプルに綾鷹の持っているイメージと組み合わせて制作しました。お茶の訴求はしていませんが、このビジュアルを見て山に行ってみようかなと少しでも思ってもらえればそれでよかったです。結果的にお茶の需要は高まると思うので。

シックスシートならではというフォーマットをどのように意識されましたか。

大きい媒体なので大きな画にしようと思いました。
外ではなるべく気持ちのいい画を見たいものです。

多様に変化する社会における広告の役割についてのお考えを教えてください。
また広告全般におけるメッセージはどのように変化していくでしょうか。

静止画需要ってどんどん少なくなっているように感じます。SNS+コロナ禍で、動画コンテンツ需要が必然的に増えていますよね。私自身YouTubeやSNSを見ていて動画広告ばかり目に付くので。動画というかひとつのコンテンツ?やファンマーケティングなど結局はクロスメディアですか、、、つまり魅力的なものをみんなで頑張って作ろうって事だと思うのですが。本質的なものは変わらなくてもアウトプットのこの流れは止まらないだろうなと。変化に対応していける柔軟さが求められているのではないかと思います。広告って一番先にそう在らないといけないものですよね、きっと。

今後の目標をお聞かせください。

受け売りですが「やるべきこと。やれること。やりたいこと。」仕事における前提だと教わりました。今は「やれること」を増やしている段階です。時代の変化に柔軟に対応できる人間になりたいです。

ありがとうございました。