2024年 金賞受賞:アース製薬株式会社 小尾 真理子さん
課題:サングラス
「OOHはパッと見が勝負。ほんの数秒のコミュニケーションとして情報を極力削ぎ落とし仕上げました。」

2024年のジャパン・シックスシート・アワードにて金賞と協賛企業賞をダブル受賞された小尾さん。日頃は日用品メーカーにお勤めの小尾さんに、OOHの特徴を活かしたアイデアの膨らませ方など、さまざまなお話を伺いました。

Q1:応募に至るまでのいきさつを教えていただけますか。
仕事では、アース製薬の商品をwebで販売するための、ECモールへの商品説明の画像やバナーなども担当しています。
小さなスマホの画面でいかに目に止まる商品訴求をできるか奮闘しているので、培った知見を生かしながら、大きな媒体にチャレンジしてみようと思いました。
Q2:お仕事での制作とプライベートワーク(受賞作品含めます)との対比など伺えますでしょうか。
日用品メーカーなので、仕事での制作物は薬機法などさまざまな角度から確認をする必要があります。わたしたちの部署にはデザインチームがあり、一部の販促物やパッケージを内製で完成させることができるのですが、デザインにかける以上に時間をかけて、文言からビジュアル表現までチェックが入ります。他部署と連携し大勢の方の協力を得て、修正を重ねて形にしていきます。
ですので、プライベートワークが大きく異なるのは、自分の判断がすべてという部分です。
Q3:この課題を選んだ理由についてお聞かせください。
理由はzoffさんの広告のトーンが好きなので、作るのが楽しそうに感じたからです。
はじめからzoffさんだけを選んで、集中して課題に取り組みました。
Q4:受賞作品の着想から、クリエイティブの制作に至るまでの過程(アイデアの膨らませ方のコツなどがあれば)をお聞かせください。
昨今は肌色の表現についてデリケートなところがあるので、紫外線による変化をどう表現しようかというのは悩みました。
また、99.999%というUVカット効果の高さを表現することを重視し、商品画像は使わないでいこうと考えました。
「白い生き物が日焼けする」表現で、白鳥など他の生き物でも試作したのですが、最終的に身近な存在のカラスを日焼け後の姿ということにしました。
Q5:シックスシートならではというフォーマットをどのように意識されましたか?
デジタルサイネージは数秒で切り替わるので、短い時間にどれだけ情報を伝えられるかということを意識しました。
要素が多いと目線が迷子になりますし、道路を挟んで離れたところから見たとき、コピーは読まれるのだろうかというようなことを考えました。OOHはパッと見が勝負。ほんの数秒のコミュニケーションとして情報を極力削ぎ落として仕上げました。
Q6:今回からのテーマに基づき、サスティナブルなOOH(屋外広告)やメディアの役割が一層注目されています。多様に変化する社会や環境への配慮が求められる中で、広告の作り方や伝え方はどのように変化していくでしょうか?
デザイナーを志していた学生の頃、広告は広告代理店がつくって広めていくものだというイメージが強かったのですが、SNSが浸透した昨今は、誰もが発信できる時代になったと感じます。そして、受け身の広告ではなく、気づきや会話を生むような情報提供のスタイルが今後増えてゆくように思います。
写真を撮ってSNSで共有されるところは、OOHの腕のふるいどころではないでしょうか。
Q7:今後の目標などがあればお聞かせいただけますか。
商品のブランディングから携われる環境にいるので、商品でも広告でも、パッと見の印象で心をつかめるものを作っていきたいです。