2023年 銀賞受賞:株式会社エンビジョン 加藤 元太朗さん
課題: 千葉ジェッツ
「屋外広告は、その場所のその瞬間にしか味わえない思いがけない出会いがあると感じています。」
2023年のジャパン・シックスシート・アワードにて銀賞を受賞された加藤さん。
日頃はクリエイティブ会社にお勤めの加藤さんに、応募に至るまでのいきさつや、アイディアの膨らませ方など、さまざまなお話をお伺いしました。
Q1:応募に至るまでのいきさつを教えていただけますか。
腕試しの思いで、毎年ひとつは公募に応募しようと決めています。
これまでにもさまざまな広告賞や公募などに応募してきましたが、実は今回挑戦するまで、Japan six sheet awardという賞があることを知りませんでした。webで応募したい賞を探していたところ、たまたま出会うことができました。
Japan six sheet awardは、媒体が面白いと思ったことと実際に掲出されることに魅力を感じ、挑戦することを決めました。
Q2:お仕事での制作とプライベートワーク(受賞作品含めます)との対比など伺えますでしょうか。
「課題解決のためのクリエイティブを制作する」という点では変わりないとは思いますが、実際にヒアリングを行って課題や悩みを聞いてから制作する点とは違い、課題内容や訴求ポイントが明確なので、アウトプットに全集中できることは公募ならではだと感じています。
また日々の業務には「縛り」や「暗黙のルール」みたいなのが存在することが多くありますが、公募はそういったものを気にせず、自分の「作りたい」という想いを優先しながら、自由度の高いアイデアで勝負できる点は、公募ならではの面白みだと思います。
業務も公募も、どちらもやればやるほど、多くの学びや経験を得ることができると思います。
公募で得た学びや経験を、業務へ活かしていくことができると、よりよいクリエイティブを生み出すためのモチベーションにも繋がっています。
Q3:この課題を選んだ理由についてお聞かせください。
課題選びの際は、ひと通り全課題内容に目を通していますが、最終的には、自分ごと化しやすいものを選んでいます。自分ごと化しやすいものの方が想いを込めやすく、途中でモチベーションが下がらないと考えているからです。また以前からスポーツ関係のクリエイティブを作ってみたいと思っていたのも「千葉ジェッツふなばし」の課題を選んだ理由です。
Q4:受賞作品の着想から、クリエイティブの制作に至るまでの過程(アイディアの膨らませ方のコツなどがあれば)をお聞かせください。
今回に関しては最初に「言葉」を先に出すことに注力しました。
バスケットボールのこと、千葉ジェッツふなばしのこと、媒体の特性など、いろいろな角度から調査を行って課題を深掘りしていき、「言葉」のアイディアの種探しを行いました。
調べてわかったことを元に、頭の中で連想ゲームをします。自分の中でヒントみたいなものが見えてきたら、スマホでも紙でもとりあえずなんでもメモするようにしています。
余談ですが、noteにも整理を兼ねて制作過程や感じたことを書かせていただいておりますので、今後挑戦する方への何かヒントになれば嬉しいです。
Q5:シックスシートならではというフォーマットをどのように意識されましたか?(大きさ、シチュエーション、見る人の行動など)
シックスシートは遠近両用な媒体だと思います。
当たり前かもしれませんが、遠くからでも認識できる大きいサイズであること、バス停でバスを待っている人は、止まって近くでじっくり見たり読んだりできること、この2点が特長だと思います。この点を特に意識しながら作品の全体構成を考え、表現に落とし込んでいきました。
私は普段生活している中で、バスをほとんど利用しないので、百聞は一見にしかずの思いで、まずは現地調査を行いました。勤務先の近くにシックスシートのポスターが掲載されているバス停がありましたので、実際に足を運んで、どんな人が見ているか、どれぐらい離れても媒体を認識できるかなど、自分なりにシックスシートの特性を感じることから取り組みました。
普段から意識はしているつもりでも、日々の生活の中でどれだけ興味深くいろんなものを見たり、経験したりすることが大切かということを改めて感じました。
Q6:多様に変化する社会における広告の役割についてのお考えを教えてください。弊社媒体を含む屋外広告、さらには広告全般におけるメッセージはどのように変化していくでしょうか?
半ば強制的に見せられる多くの広告は、ただでさえスキップされたり、牽制されてしまいがちですが、屋外広告は、パーソナライズされたweb広告とは違い、その場所のその瞬間にしか味わえない思いがけない出会いがあると感じています。
今後、さらにAIなどを含むデジタル技術が発達していくことによって、アイデア出しやアウトプット制作が今よりももっと簡単にスピーディーになり、誰でもある程度のクオリティのものが作れるようになっていくと思います。
簡単にすぐに大量に広告が作れてしまうようになると、今よりもさらに牽制されてしまう可能性もある中で、OOHも含めたさまざまな広告の「伝えたいメッセージ」と言う部分が、より重要になってくると感じています。また、見た人が気持ちよくポジティブになれるクリエイティブであることもより大切になっていくと感じています。
Q7:今後の目標などがあればお聞かせいただけますか。
今後は、共感や体験を通して関わった人がポジティブになれるクリエイティブを1つでも多く作っていきたいと考えています。そのためにも、今後もさまざまなアワードには積極的に挑戦していき、自分の幅を広げていきたいと思っています。
現在、私は、「株式会社エンビジョン」というクリエイティブ会社に所属しています。
企業や社会の課題や困り事を明確にし、解決のためのクリエイティブ戦略を考えて伴走支援していくことで、世の中をよくしていこうと日々活動しています。「社会課題って難しそう」「私には関係ない」といった心理的なハードルを下げ、情報を受け取りやすい状況をつくるために、社会課題にも目を向けたオウンドメディアも運営しています。
ご興味ある方はぜひ弊社webサイトもご覧いただけると幸いです。